落語の中の言葉・番外「付け馬」附録ー「から尻」
「付き馬」のなかで「から尻」については何も説明しませんでしたので簡単に紹介します。
荷物や人を運ぶ馬には「本馬」「乗掛」「から尻」の三つがあります。
児玉幸多『宿場と街道』には次のように書かれています。

○寛文元丑年(1661)
定
一御伝馬幷駄賃之荷物、壱駄四拾貫目たるへし、但四拾貫目より重き荷物秤ニ懸ヶ、重き分可除之旨、荷主え申断へし、若除間敷と申輩あらハ、幾度も申断、其上ニも於無承引は、馬を出すへからさる事、
一人足荷物壱人ニ付て五貫目を可限、それより重き荷物は荷主え断之、重き分可相除、自然除間敷と申ニおゐてハ、可為如先條事、
附、人足賃ハ馬之半分たるへき事、
一江戸より品川迄、駄賃壱駄ニ付て四拾弐文、荷物なくして令乗は弐拾七文、板橋え四拾八文、荷なしにのらハ三拾壱文、千住え四拾六文、荷物無之時は三拾文、帰馬之駄賃同前たるへし、 但夜通し急相通る輩計ハ、荷なしに乗といふとも、夜之分は荷之積りニ駄賃銭可取之事、
(以下略)
○享保三戌年(1718)十月
定
江戸よりの駄賃幷人足賃銭
品川まて
荷物壱駄 九拾四文
乗懸荷、人共 同 断
から尻馬壱疋 六拾壱文
附あふつけハから尻に同、それより重き荷物ハ本駄賃銭に同しかるへし、
人足壱人 四拾七文
千住まて
荷物壱駄 九拾壱文
乗掛荷、人共 同 断
から尻馬壱疋 六拾文
人足壱人 四拾六文
寛文元年の江戸から品川までの駄賃はから尻で弐拾七文
寛文二年の日本橋から大門までの吉原通いの駄賃は「馬奴二人こむろぶしうたふ」とはいえ弐百文。距離は日本橋から大門までの方が品川までよりも大分短いと思います。宿場の駄賃がいかに安いかがわかります。
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荷物や人を運ぶ馬には「本馬」「乗掛」「から尻」の三つがあります。
児玉幸多『宿場と街道』には次のように書かれています。

(一)荷物一駄というのは、本馬ともいう。一駄は、慶長六年(一六〇一)の定書では三十貫目(一貫=約三・七五キロ)までとしているが、翌七年の定書では、伝馬荷物は三十二貫目、駄賃荷物は四十貫目としている。伝馬荷物というのは、朱印状や証文で運ぶ無賃の荷物をいう。伝馬と駄賃とは、幕府では後々まで区別している。しかし荷物は、元和二年(一六一六)に、伝馬も駄賃も一駄は四十貫になった。吉原馬の駄賃と比較するために宿場の駄賃をあげましょう。駄賃は時代によって変わっています。いずれも『御触書寛保集成』からです。
(二)乗掛(乗懸)というのは、人が乗って荷物をつけたものをいう。馬の背の両側に明荷(つづら)を二個つけ、その上に蒲団をしいて乗る。明荷は今では相撲が場所入りの時にまわしや化粧まわしを入れて持ち運ぶために使われている。その荷を乗懸下とか乗尻という。乗掛荷人共というのは、人と荷物がある場合ということである。乗尻の荷物は、慶長七年の規定では十八貫目ということになっていたが、後には二十貫目までとなり、ほかに蒲団・中敷・跡付・小付などで、三、四貫目までは許された。それと人の目方を合わせれば四十貫ぐらいになるわけで、その賃銭は本馬と同じであった。
(三)軽尻は、空尻とも荷なしともいう。人が乗って荷物をつけないものをいう。もっとも五貫目までの荷物はつけられる。ほかに蒲団・中敷・小付などで二、三貫目までは許される。人が乗らなくて荷物だけ二十貫までのものも軽尻という。これも一、二貫目の超過は許される。人が乗ったのを軽尻、荷物だけのを荷軽尻という。賃銭は本馬の三分の二。
○寛文元丑年(1661)
定
一御伝馬幷駄賃之荷物、壱駄四拾貫目たるへし、但四拾貫目より重き荷物秤ニ懸ヶ、重き分可除之旨、荷主え申断へし、若除間敷と申輩あらハ、幾度も申断、其上ニも於無承引は、馬を出すへからさる事、
一人足荷物壱人ニ付て五貫目を可限、それより重き荷物は荷主え断之、重き分可相除、自然除間敷と申ニおゐてハ、可為如先條事、
附、人足賃ハ馬之半分たるへき事、
一江戸より品川迄、駄賃壱駄ニ付て四拾弐文、荷物なくして令乗は弐拾七文、板橋え四拾八文、荷なしにのらハ三拾壱文、千住え四拾六文、荷物無之時は三拾文、帰馬之駄賃同前たるへし、 但夜通し急相通る輩計ハ、荷なしに乗といふとも、夜之分は荷之積りニ駄賃銭可取之事、
(以下略)
○享保三戌年(1718)十月
定
江戸よりの駄賃幷人足賃銭
品川まて
荷物壱駄 九拾四文
乗懸荷、人共 同 断
から尻馬壱疋 六拾壱文
附あふつけハから尻に同、それより重き荷物ハ本駄賃銭に同しかるへし、
人足壱人 四拾七文
千住まて
荷物壱駄 九拾壱文
乗掛荷、人共 同 断
から尻馬壱疋 六拾文
人足壱人 四拾六文
寛文元年の江戸から品川までの駄賃はから尻で弐拾七文
寛文二年の日本橋から大門までの吉原通いの駄賃は「馬奴二人こむろぶしうたふ」とはいえ弐百文。距離は日本橋から大門までの方が品川までよりも大分短いと思います。宿場の駄賃がいかに安いかがわかります。
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